改めてリプトンの「エクストラクオリティセイロン」通称=青缶をストレートで
飲んで(ああ、この渋みだよね…)とうなずいている私。
紅茶が苦手な人は理由を訊いてみると「だって紅茶って渋いもの」とおっしゃる。
けれどもそう答えた同じ人は、私の舌には苦すぎる濃いコーヒーを美味しそうに
飲んでいたりもする。味覚は本当に人それぞれで面白いといつも思います。
リプトンの青缶はスリランカの中でも最も標高の高い地域で栽培されている
ヌワラエリアという銘柄をベースにした紅茶として知られます。
言い慣れないと舌を噛んでしまいそうな名前ですよね、ヌワラエリア。
私は以前その不思議な名前につられ、量り売りのお店でその茶葉を購入、
しばらくストレートで飲んでいたことがあります。
その時の感想が「初めて飲んだはずなのに、懐かしい味!」でした。
どこか日本茶にも通じる渋みがそう思わせたのか、草いきれのような香りが
子どもの頃に遊んだ原っぱを連想させたのか… とにかく懐かしい味。
ヌワラエリアはまさにそんなお茶です。香りが青く、若いのです。
そして、渋い(笑)
でも、この渋みはいつまでも残るような嫌な感じのものではありません。
あっという間に消えて、後味はスッキリ!
これは最近まで飲んでいたもの(左)と今飲んでいるもの(右)の比較です。
書いてあることはほとんど同じ(沸騰の騰の字がひらがなに変更になったり、
「茶(紅茶)」という表記が「紅茶」に変更されたぐらい)ですが、文字の色が
缶の色と似た色から黒になって見やすくなりました。
こんな風にもう何回リピートしたかも忘れるぐらい、なくなるとついついまた
買ってしまう。決して「一番美味しい紅茶」だとは思いませんが、少なくとも
私には「一番不思議な魅力を感じる紅茶」です。
ストレートで何か紅茶を飲もうという時に、まず浮かぶのはダージリン。
次いでキャンディ、ディンブラ、ニルギリ… などになるのですが、気持ちが
ゆったりしていたり楽しい気分の時、私は一番まろやかで優しい味のキャンディを
よく飲みます。
でも、気持ちがどうしようもなく塞いで暗くなっていたり、逆に感情的になって
いたりするときは、なぜか青缶を飲みたくなります。
ひと口飲む度に「しっかりしなさい」とか「そういう考えは良くないよ」とか
お茶に叱られているような気持ちがするんですよね…
誰かが自分のことを思って言ってくれた厳しい言葉さえ、聞く耳持たず全部
撥ねつけてしまいたいような時にも、紅茶の渋みは 味覚 という「感覚」として
直接的に舌を刺激するから「ハッ」とさせられる。
どんなにたくさんの言葉も耳を塞いでしまえば届くことはない。
でも、一度口に流しこみ舌に乗った食べ物や飲み物の味がしないということは
まず、ない(コロナウイルス感染初期の自覚症状等は別として)。
感覚という、ある意味とても原始的なものを直接刺激されることがあれば、
人は本来の自分の姿を取り戻す、ような気がするんです。
そう「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」でしんちゃんの
パパ・野原ひろしが臭い靴下を嗅いで自分を取り戻したように(笑)
それに、なによりお茶は温かい。
まず渋みで「ハッ」と気づかされ、体が温まるにつれ「そうだね」と冷静さを
取り戻す。私にはそんなことが本当に何度かありました。
仕事や家事を頑張ったとき自分へのご褒美にちょっと高いスイーツを買う
というのはよくありますよね。逆バージョンもあっていいと思うんです。
良くない感情、マイナス思考にとらわれてしまって、なかなかそこから
抜け出せなくなっている時、もしかしたら青缶の渋味が本来の自分の姿に
気づかせてくれるかもしれません。