ぬいぐるみです。ムックムクのもっふもふです。
ご覧のようにパーツごとに生地の質や毛足が、手触りが、全然違います。
例によってセカイモンを介しまして ドイツから来てもらいました。
ボディに比べやけに口吻が長いのがちょっと惜しいけれど、手の込んだ
この作り込みに思わず 唸りました。
ドイツでぬいぐるみといえばテディベアで有名なシュタイフ社が思い出され
ますが、これはシュタイフ社製ではありません。
それでもオオアリクイという、地味すぎるほど地味な動物に対するこの仕事の
丁寧さに、私は感動を超え 尊敬の念 すら覚えるのです。
ちょっと向きを変えて立たせてみましょう。
眼にうっすらと瞼があるのがわかりますでしょうか。
画像検索をするとわかりますがオオアリクイって瞼がちょっと被さったような、
こんな物憂げな目をしているんです。決して愛くるしいパッチリお目々という
わけではないんです。
前足、毛足が長いにもかかわらず黒い線はキッチリ入っています。
それもどうやら白い生地のその部分だけ染めたような感じで。
体毛の緩やかにうねる毛質とは異なる、直毛でバサッとした印象の尻尾
(実際は柔らかい)が見て取れますでしょうか。
仰向けにひっくり返すとテディベアのように指の形に糸で縫って作られた
人間の手のひらのような「足の裏」があります。これは実際はこうではない
だろうと思うのですが、体高が低く横に細長いオオアリクイの体型を支える
ためではないかと思われます。足の裏をわざと大きめに作り込むことで
飾っても倒れにくいようにとの配慮だと…… あくまでも推測ですが。
私は以前独学でテディベア作りにハマッていた時期がありました。
といっても教室に通ったわけではなく、ベアの型紙付きの手芸本を何冊か
熟読して覚えたので出来はどれも微妙でしたが(苦笑)
無心にモヘア生地を縫ったりジョイントを巻いたりしていると自然と
心が「無」になって澄んでいくのです(今はもう老眼が酷くて無理…)。
その経験があって、このような高いクオリティのものを作ることが
どれほど大変かということに、より、思いをはせるようになりました。
こういう良いものを与えられる子どもたちは幸せです。
だから心が動くのです。